印紙税、収入印紙とは?
「契約書」を交わすときの税金
土地や建物を購入する時にには売買契約書を取り交わしますが、その契約書には必ず「印紙」を貼り消印をする。これが印紙税の納付です。
また、建物の請負工事契約書や住宅ローン等の借用書(金銭消費貸借契約書)にも収入印紙、消印が必要となります。
今回はその印紙税について少しご説明させて頂きます。
目次
- ○ 不動産に関する契約書の印紙代について・・
- ○ そもそも印紙税って・・
- ○ 自然災害による印紙税の非課税
- ・①自然災害の「被災者」が作成するものであること
- ・②自然災害により滅失した建物または損壊し、取り壊した建物が所在した土地を譲渡する場合
- ・③自然災害により損壊した建物を譲渡する場合
- ・④滅失等建物に代わるもの(代替建物)の敷地の為の土地を取得する場合
- ・⑤代替建物を取得する場合
- ・⑥代替建物を新築する場合
- ・⑦損壊建物を修繕する場合
- ・⑧その書類に自然災害により「り災証明書」等を添付していること。
- ○ 印紙税節約の動き
- ○ お礼状に料金を記載したら、課税されたケースも
- ○ 最後に
- ・この記事をかいたスタッフ
不動産に関する契約書の印紙代について・・
売買契約書は、通常2通作成し、売主と買主が保管する事になりますが、この2通の契約書それぞれに印紙を貼らなければなりません。
もし、どちらか一方の契約書に印紙を貼らなかった時は、売主と買主が連帯して納付する義務を負いますので、注意が必要です。
では、次にいくらの印紙を貼ればよいかということですが、契約書の種類と記載された金額に応じて印紙税が定められています。
尚、平成26年4月1日から令和6年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書と建築請負に関する書類については、税額が軽減されています。
▽詳しくは印紙税一覧表をクリック
そもそも印紙税って・・
印紙税の発祥は17世紀オランダで、戦費ねん出のために税務官吏が「発明」したことがことの起こり。
その後明治時代に日本でも取り入れられたみたいです。
納税者からしてみれば税金はどれも不合理なものですが、中でも課税の根拠が見えづらく不合理・不透明だと言われる「印紙税」。
そもそも印紙税は必要なのでしょうか?
財務省のホームページでは、印紙税について
「各種の経済取引に伴い作成される文書の背後にある経済的利益に担税力を見出し、負担を求める税」と
説明されています。
つまり、お金を払っているのだからさらに税金を払うだけの余裕(=担税力)があるだろうということが、
課税されるという理屈になります。
経済的利益があった人は消費税なり法人税なり所得税なりを納付しているわけで、何重にも課税されることになります。
契約書、受取書、証書など20種類の文書に課税され、身近なところでは5万円以上の領収書、不動産の譲渡などで掛かってくる為、買うものにかかる消費税、儲けたお金にかかる法人税や所得税と比べ、税金がかかる理由が分かりづらい税目ですね。
自然災害による印紙税の非課税
「不動産の譲渡に関する契約書」または「建設工事の請負契約書」は、
自然災害の発生した日から5年を経過する日の間までに作成された以下の要件を満たしたものは、
非課税とされます。
①自然災害の「被災者」が作成するものであること
②自然災害により滅失した建物または損壊し、取り壊した建物が所在した土地を譲渡する場合
③自然災害により損壊した建物を譲渡する場合
④滅失等建物に代わるもの(代替建物)の敷地の為の土地を取得する場合
⑤代替建物を取得する場合
⑥代替建物を新築する場合
⑦損壊建物を修繕する場合
⑧その書類に自然災害により「り災証明書」等を添付していること。
※被災者と被災者以外の者(不動産業者や建設業者)が共同で作成する契約書の場合、
被災者が保存するものは被災者が作成したものとみなして非課税とされますが、被災者以外の者が
保存するものは被災者以外の者が作成したものとみなして課税されます。
※自然災害とは被災者生活再建支援法第2条第2号の政令で定める自然災害をいいます。
印紙税節約の動き
実は銀行や郵便局の通帳には、1口座当たり年200円の印紙税が課されています。
1件1件は小さくても、金融機関にとっては大きな出費です。
三菱UFJ銀行が「紙の通帳をやめれば1000円キャッシュバック」というサービスを展開し、
地銀などで追従する動きが出ています。
インターネットを通じて残額を確認できる“デジタル口座”が普及してきたことによる、
銀行の事務負担を軽減するためのこの動き。
銀行にとって最大のメリットになるのが、印紙税の節約です。
お礼状に料金を記載したら、課税されたケースも
ルーティンワークで送っていたお礼状が印紙税対象の文書だと税務調査で指摘され、印紙税と過怠税合わせて3千万円払ってねと指摘されるといった事態が現実に起きています。
例えば、冠婚葬祭業者が葬儀を行った利用者に対して送るお礼状にサービスのつもりで料金を記載したら、「領収書」とみなされ課税された案件。
この事例では、正規の領収書は別に作成していたにも関わらず課税されてしまいました。
さらに別の事例では、銀行が住宅ローン申込者に送った「ローン審査結果のお知らせ」という文書に印紙を貼っていなかったことで課税されています。
税務調査で印紙を貼っていなかったことが指摘されると、過怠税も合わせ必要な印紙税額の3倍の額を払わなければなりません。
最後に
課税に不合理感のある印紙税。
経済界からの要望も多く、かねてから経済産業省は「印紙税のあり方の検討」という税制改正要望を行っています。
しかし、日本の税収の中でもそれなりに大きなインパクトがあるために廃止論には至りません。
さらに印紙税の性質をおかしくしているのは、課税文書の作成が国外で行われれば印紙税が課税されない、
課税文書でもFAXや電子契約でのやり取りの場合には印紙税がかかってこないという点です。
法が施行された当初はもちろんこの事態は想定していなかったでしょうが、今となっては、
「アナログ課税」とすら言える状況になってしまっています。
デジタル化のさらなる進展も踏まえ、そのあり方を本気で見直すべき時ではないでしょうか。
この記事をかいたスタッフ
売買仲介課 羽根田