「管理できない土地を手放したい!」【相続土地国庫帰属制度】とは??
こんにちは。
SUMiTAS安城店スタッフNです。
さて、今まで私は「チラシ担当」として、「チラシで注目すべきポイント」について記事を書いておりました。(読んでくださっている方がいたら光栄です…)
が!!
今回は、チラシ関係ではありません。タイトルにもありますが『相続土地国庫帰属制度』について記事を書こうと思います。
と言いますのも、私事ではありますが、私の母が相続によって長崎県の土地(ほぼ山…)を相続し、現在進行形で困っています。そして色々と調べていたところ、この『相続土地国庫帰属制度』があることを知りました。要件などは色々とあるようなのですが、今回はこの『相続土地国庫帰属制度』について書こうと思います。
私の母と同じように悩んでいる方、これからそんな可能性のある方のお役に立ちましたら何よりです。
※因みに先月のコラムに「2024年4月1日から開始する『相続登記義務化』について」の記事があります。※詳しい内容はコチラをご覧ください。
目次
- ○ ①『相続土地国庫帰属制度』とは?
- ○ ②どんな人がこの制度を使えるの??
- ○ ③引き渡せる土地の条件はあるの??
- ・(1)申請ができない土地(申請の段階で直ちに却下となる土地)
- ・(2)帰属の承認ができない土地 (審査の段階で該当すると判断された場合に不承認となる土地)
- ○ ④手続きの流れ
- ○ おわりに…
①『相続土地国庫帰属制度』とは?
これまでは、相続財産に不要な土地があってもその土地だけを放棄することができず、不要な土地を含め全て相続するか、他の資産も含め全て相続放棄をするかしかありませんでした。
昨今、土地利用のニーズが低下し、土地を相続したものの土地を手放したいと考えるかたが増加する傾向にあります。これらが、相続の際に登記がされないまま土地が放置される「所有者不明土地」が発生する要因の一つと言われています。
所有者不明土地の発生を予防するための方策として、相続登記の申請の義務化などとあわせて、相続した土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度が創設されることになりました。
「相続土地国庫帰属制度」は、相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる新しい制度です。
②どんな人がこの制度を使えるの??
相続した土地を国に引き渡すための申請ができるのは、相続や遺贈で土地を取得した相続人です。
これは、この制度の開始前(令和5年(2023年)4月27日より前)に相続した土地でも申請できます。
また、兄弟など複数の人たちで相続した共同所有の土地でも申請ができます。ただし、その場合は、所有者(共有者)たち全員で申請する必要があります。
※生前贈与を受けた相続人、売買などによって自ら土地を取得した人、法人などは、相続や遺贈で土地を取得した相続人ではないため、申請ができません。
因みに、相続土地国庫帰属制度の利用を検討した方が良い人は、「相続または遺贈により土地を取得したが、その土地を自分で活用することを望んでおらず、売却もできない人」です。
「売却」をお考えの方は下記窓口へご相談ください。
■相続不動産の売却が決定又は予定しているお客様の御相談窓口はこちらです
③引き渡せる土地の条件はあるの??
相続した土地であっても全ての土地を国に引き渡すことができるわけではなく、引き渡すためには、法令で定める引き取れない土地の要件に当てはまらない必要があります。
下のいずれかの要件に該当する土地については国庫帰属ができません。
(1)申請ができない土地(申請の段階で直ちに却下となる土地)
a.建物がある土地
b.担保権や使用収益権が設定されている土地
c.他人の利用が予定されている土地
d.特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
e.境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2)帰属の承認ができない土地 (審査の段階で該当すると判断された場合に不承認となる土地)
a.一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
b.土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
c.土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
d.隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
e.その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
④手続きの流れ
1.法務局への相談
→相談先の法務局とは、原則承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)です。
引き渡したい土地がお住まいの地域から遠方にある場合など、承認申請をする土地が所在する法務局・地方法務局(本局)での相談が難しい場合は、自宅近くの法務局・地方法務局(本局)でも相談できるようです。
2.申請書類の作成・提出
→必要な申請書・添付書類を作成・準備します。
申請書類の作成・収集が終わったら、法務局へ申請をしましょう。
申請先の法務局とは、申請する土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門です。
3.承認結果を確認する
→法務大臣(法務局)において、提出された書面を審査し、申請された土地に出向いて実地調査を行います。その実地調査の結果、承認されたか・不承認になったかの通知が届くので確認してください。
4.承認後の負担金の納付
→申請された土地について、審査の結果、国が引き取れると判断した場合、帰属の承認の通知とともに、負担金の納付を求める通知が申請者に届きます。
申請者は負担金の納付を求める通知に記載されている負担金額を、当該通知が到達してから30日以内に納付する必要があります。
負担金が納付された時点で、土地の所有権が国に移転します。
※土地の所有権移転の登記は国が行いますので、申請者が登記を申請する必要はありません。
詳しくは、法務省HP「相続土地国庫帰属制度について」をご覧ください。
おわりに…
いかがでしたか?
今回は、「相続土地国庫帰属制度」について調べてみましたが、土地を国に引き渡すと言っても、様々な要件がありそうなので、対象の土地について確認する必要がありそうです。
因みに私の母の土地の場合、現在建物が建っているため、この時点では「申請できない」土地になってしまいます。
ただ、「これから更地にすれば大丈夫なのか?」「ほかの要件には当てはまっているか?」等、詳しいことは、法務局に相談してみた方が良さそうです。
皆様の場合はどうでしょうか?
相続した上で手放したい・しかし売却できない土地をお持ちの方は、この制度を検討する選択肢もあるかもしれませんね。
ただ、「不動産が売却できるか分からない」とお悩みの方もいらっしゃるはず。
そんな時は、是非一度弊社にご相談ください。
不動産のプロが皆様のお話を伺った上でそれぞれのお客様に「より最良の」ご提案をいたします。