愛知県の土地価格の今後の見通し
この記事では愛知県の
- この5年間の土地価格の動き
- 新型コロナの影響を含め、今後どうなるのか?
の2点について解説しています。
目次
- ○ 1、過去5年間の愛知県の不動産の動き
- ・地域別不動産価格推移
- ○ 2、これからどうなるのか?
- ・金利の上昇リスク
- ・株価がピークを過ぎて暴落したとき
- ・不動産取引に何らかの規制をかけたとき
- ○ 3、まとめ
- ○
1、過去5年間の愛知県の不動産の動き
愛知県の土地価格は、この1年間で、住宅地で+2.3%、商業地も+3.4%と、大きく上昇しました。
また、2018→2023年の5年間で見ると、住宅地で+4.7%、商業地で+12.5%と、商業地での伸びが大きかったようです。
(参考:国土交通省 地価公示)
ですが、もちろん地域によって、動きに大きな差があります。
そこで、この5年間の住宅地の変化率を市区町村別に表してみました。
地域別不動産価格推移
名古屋市と西三河地区だけ上昇しているのか?
その理由をザックリ言うと、
「建築費の上昇によって住宅価格が上昇しているため、土地価格も連れ高している。しかし、同時に農地の宅地化も進んでいるため、農地が多く、買い手が少ないエリアでは下落している。」
ということになります。
建築費が上昇
特に新型コロナ以降にですが、ロシアのウクライナ侵攻なども重なって、いろいろな商品の値上げが続いています。
そのため、新築が高くて手が出せない人が、中古マンション・戸建ての購入に流れた結果、愛知県の中古マンション・中古戸建ての価格も上昇しています。
2018〜23年で見ると、中古戸建てで4.8%、中古マンションでは、なんと15.4%も上昇しているのです。
建築費も例外ではなく、マンション・戸建てともに建築費が20〜30%も上昇しているのです。
2、これからどうなるのか?
金利の上昇リスク
2022年に入ってから、金利の上昇が始まっています。
新型コロナや、ウクライナ侵攻などで、世界各国の経済が混乱し、物価が上昇しているため、物価上昇をおさえるために、世界中の国々で金利を引き上げているのです。
例えば、アメリカでは、この1年間で、0.25→5.25%へと、なんと5%もの金利の引き上げを行っています。
日本では、今のところそういう対策をしていませんが、投資家の間ではすでに「日本も金利の引き上げを行うのではないか?」と見られており、期間10〜30年の国債の金利が上がり始めています。
住宅ローンの金利も、このような状況を受けて、上昇し始めています。
固定金利の住宅ローンである、フラット35(期間21〜35年)の金利も上昇傾向にあります。
株価がピークを過ぎて暴落したとき
幸いにも不動産価格には、株価という先行指標が存在します。
不動産価格は株価に1年程度遅れて動くため、株価が大きく下落すれば約1年後には不動産価格も下落すると予想できます。
2023年7月時点では株価は総じて上昇傾向にあるため、少なくとも2024年も不動産価格は下がらないと考えられます。
では、株価はどのようなタイミングで下がるのでしょうか。
株価も金利に大きく影響します。
金利が上がれば、借入をしにくくなり、企業の経済活動が停滞します。
企業の経済活動が停滞すれば業績も下がり、その結果、株価も下がってしまうのです。
よって、やはり金利の動向には注視する必要があります。
不動産取引に何らかの規制をかけたとき
このまま不動産価格の高騰が続けば、バブル時代のように社会問題化する可能性も高いです。
社会問題化すれば、日銀が金利を上げることはできなくても、政府が不動産取引に何らかの規制をかけることはあり得ます。
恐らく何らかの規制の発動が、今後、不動産価格が下落するタイミングとなる可能性が強いです。
例えば、バブル末期には地価税という税金がありましたが、現在は停止されているだけであり、地価税が復活する可能性はあります。
また、国土利用計画法という法律も存在し、仮に規制区域と呼ばれる指定がなされれば土地取引が許可制になるという制度も存在します。
これらはバブル時代につくられた制度であり、今も存続している投機的取引を抑止するための制度です。
金利を上げなくても不動産価格を抑制する制度は残っていることから、不動産価格の高騰が社会問題化すれば、まずは既存の制度を使った規制から行われるものと考えられます。
取引規制をかけても価格高騰が収まらないときには、次に考えられるのは増税です。
増税によって国が国債を返済し、日銀が自由に金融政策を行えるようになれば、金利を上げて不動産取引を抑制し始めるとも予想されます。
ただし、政府による不動産取引の規制は、予告なしで行うことは考えにくく、事前のアナウンスがあると考えられます。
取引規制のアナウンスがあれば、それが不動産価格の下がる最初のサインなのかもしれません。
3、まとめ
以上、不動産価格の推移と今後について解説してきました。
50年間の推移を見てみると、不動産価格は株価にやや遅れる形で推移していることがわかります。
近年、不動産価格が上昇している主な理由としては「金融緩和によるインフレ」や「円安による外国人投資家による需要増」が挙げられます。
今後の予想として、金利上昇が行われるのは難しいのではないかという見方も多いです。
不動産価格が下落するタイミングとしては、「株価がピークを過ぎて暴落したとき」や「不動産取引に何らかの規制をかけたとき」が考えられます。
金利を「上げられない説」が有力だとすれば、インフレは長期化する懸念があります。
先のことは誰にもわかりませんが、現状を踏まえると少なくとも今後1~2年先の価格高騰は続くものと予測されます。